受賞のことば

2017年4月4日 カテゴリ:金城哲夫脚本賞
受賞のことば

 

大賞 「星空の秘密」

山中 基義

一月二十五日。この日はぼくの誕生日です。その日に金城哲夫のふるさと沖縄・南風原町脚本賞大賞受賞の電話連絡を頂きました。こんなに大きな誕生日プレゼントをいただいたのははじめてです。審査をして下さり、選びだしていただきました多くの皆様方に本当に感謝いたします。
ぼくの書いた「星空の秘密」という物語は沖縄出身の両親を持つ主人公の女の子が関西育ちで、なかなか沖縄に馴染めないのですが、異形の者を含む様々な沖縄の人々に触れ、時に沖縄の歴史を肌で感じてゆく物語です。正直勉強不足な所もありますので、もし上演される際は南風原町の皆さんのアイデアを盛り込み、素敵な作品に生まれ変わらせてほしいものです。


佳作 「妖火日(ようかびー)」

宮城 淳

子どものころ夢中になって見たウルトラマンの作者金城哲夫さんが、沖縄県の出身で、しかも自分と同じ玉川大学の大先輩であったことに何ともいえない思いがしています。このような機会を作っていただいたことにとても感謝しています。
「妖火日」は、三十年あまり前にぐそーにいってしまった私の祖父となきあきらとの合作です。祖父が残してくれた小さな脚本を劇中劇のように使わせてもらいました。
この劇を作るに当たって、うちなーぐちでやりたいという思いが強かったです。そして、辺野古に座り込んでいる人たちが元気になってくれればと、そう思いました。
佳作をいただいたことに勇気をもらって、次はもっと、良い作品をと考えています。


佳作 「鉄ぬ世」

近本 洋一

金城哲夫氏の名を記した賞で評価が頂けたことを大変光栄に思います。この南風原町には琉球王朝に繋がる伝統と、激烈な沖縄戦の記憶が刻まれており、近年ではグスク時代の鉄器などの考古学的発見もされています。歴史に富むこの土地出身の金城氏は、その仕事で、古代神話のような原型的物語と、宇宙人すら仲間として受け入れる寛容な世界観を提示しました。そこには、古代から現代まで、海を越えてもたらされる吉凶様々な出来事を受容して来た沖縄の魂の在り方が反映されているように思います。内地出身の私が書いたマブイについての物語を評価して頂いたことで、そのような沖縄の魂を確かに描けていると認められたと感じます。嬉しい限りです。